名刀紹介 一期一振

今日ご紹介するのは、ある名工が一生に一振りだけ打ったという太刀「一期一振」。名前の響きから、なんとも素敵な印象を受けるこの日本刀、その名の通り、非常に興味深い歴史的背景が隠されています。その魅力をじっくりとお伝えします。

一期一振の歴史

一期一振は、名工「粟田口吉光(藤四郎)」作の太刀のことです。吉光は、同じく名工と呼ばれた正宗と並ぶほどの腕を持ち合わせたといわれていますが、吉光が打った日本刀は、短刀が多く、太刀は一生の間にこの一振りしか打たなかったとのこと。そのため、一期一振という名がついたそうです。

もともと朝倉氏(戦国時代)が持っていたこの一期一振、朝倉氏が滅びた後は毛利氏が所有。その後、毛利輝元から献上されたのが、豊臣秀吉だったといいます。このとき、小柄だった秀吉が、もともと刃長が2尺8寸3分(約86cm)あった一期一振を、自分に合わせて2尺2寸8分(約69cm)に磨りあげたといわれています。

秀吉の死後は、豊臣家に伝承されたあと、徳川家康のもとに。一期一振は大阪落城の際に焼けてしまいますが、越前康継に徳川家康が打ち直させ、再び蘇りました。そして、1863年、徳川茂徳から孝明天皇に献上後、皇室御物となっています。

刀にまつわるエピソード

さまざまなエピソードが伝えられる一期一振。やはり、「豊臣秀吉が自分の体格に合わせて小さくし、今の姿にした」というエピソードから、秀吉のこの刀への想い入れが感じられます。

また、徳川家康の「打ち直しさせた」というエピソードからも、家康が一期一振に対して多くの魅力を感じていたのではないかと想定されます。刀は、高熱により一度でも焼かれてしまうと、強度がなくなるため、再度、刃に焼きを入れる「打ち直し」を行っても、再びそれで斬ることはできません。家康は、武器として甦らせようとしたわけではなく、刃文を甦らせて鑑賞しようとしたのでしょう。それほど魅力的な太刀だったということですね。

刀の特徴は?

刀剣乱舞というゲームにも登場する一期一振ですが、その模造刀は、実にきらびやか。ゲームで表現されているものとほぼ同じ姿です。鞘は朱色。赤の鮫皮に金の鐔、そして黒色の柄巻という、華やかな印象の日本刀です。

現在の保管場所は?

現在は、皇室の御物となった一期一振。皇室の私有品として、宮内庁が管理する「山里御文庫内 御剣庫」に収められています。

私のような日本刀好きにとって、このような貴重な刀はかなり魅力的に映ります。現代までの歴史を思い浮かべることで、更に日本刀の楽しみ方が増えるのではないでしょうか。引き続き、さまざまな日本刀をこちらでご紹介していきたいと思っています。