「刀剣漫画」カナヤゴを読んで

ついに日本刀を題材にした漫画が出版されました。
「カナヤゴ」という題名で、徳間書店からの出版です。
刀鍛冶になりたい女子高生が、奈良の鍛刀場に入門し、

切磋琢磨しながら成長して行くというストーリー。
残念な事に全2巻で終わってしまったみたいですが、
短いながらも随所に落としどころがあり、なかなか面白かったです。

刀を題材とした漫画というと、非現実な描写が多いのではないかと危惧していたのですが、
登場人物が時代錯誤な格好をしていたり、空を飛ぶような必殺技は無く、
多少妙な奴が出てくるが、あくまで現実的な設定で物語は進んでいきます。

漫画らしいなと思ったのは
主人公のかなみに少し特殊な能力が設定されている事。
それは
「良い刀を手に取るとその刀が持つ景色が見える事」、
「鉄の声が聞こえる事」
です。

刀の持つ景色とは、
雲の中に見える山頂の景色であったり、
天女が桜吹雪の中舞踊る景色だったりと
さすがに少し大げさな描写であるが、
刀を見ていると意識が吸い込まれるような、
気分が高揚する感覚はわからなくはないと思った。
ただし、実は主人公以外の人にも景色が見える方が多く、
それでは主人公の能力が引き立たないではないかと少し残念に思えました。
ただ皆が同じ刀に同じ景色を見ていた事には
多少疑問が残るがそれは置いておこう。

鉄の声が聞こえるというのは、
鋼を熱している時や鍛錬している時に、ちょうど良い頃合いが分かるというもの。
鉄の声を聞きながら鍛錬できるなんて、なんと楽しげな事だろう。

しかし、なによりも特に印象に残っているのは、
かなみの母親の子離れのシーンであります。
そもそもかなみは大学の推薦入試当日に、
唐突に鍛刀場のある奈良へ飛んで行ってしまった。
それだけでも心配するものの、刀鍛冶になりたいというのだから
母親としてはたまらない想いだっただろう。
飛び出していったかなみを追って、奈良まで駆けつける母。
そこでかなみの刀鍛冶への並ならぬ覚悟を知り、
自分も子離れをする必要が有ると母親も覚悟を決める場面です。
はずかしながら、私には到底出来ないと思う。

最終的には弟子の2人がコンクールで競い合い、
勝利した弟子が独立するというところで終わっている。
肝心の主人公の行く末が不透明なままで、この点は非常に残念でした。
このまま続いてもおかしくない終わり方をしているので、
是非続編が出てほしいものです。